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みづくくる 一六八 十 一六八  【HIROYA to IROHA】

絞り染色作家藤井裕也ブログ【みづくくる~ひろやといろは】。 水くくる=絞り染めの意。一六八=ひろやと物事のいろはを掛け合わせ題しました。 一六八十一六八は『いろは十色は・ひろや都いろは・色やとひろや・いちろひらくたりいろひらく』とも読みます。

15)流通。

誰もが知識や情報だけならプロ以上のことを知ることが出来る時代になりました。
先日、弊社サイトをご覧になられた上で展示会にご来場くださったお客様からイメージが違いますね?とお声をいただいたことから、少しばかり私たちのスタンスを綴ってみたいと思います。

纏めるのに少し時間を要しましたので予定より更新遅れてしまいました。
加筆修正もするかと思いますが、宜しくお願いします。

展示会では舞台衣裳など魅せるもの2割ほど、実際一般の方がお召しいただけるもの8割ほどの構成で陳列しますが弊社サイトは前任者の好みで魅せるものだけが目立ちますね。
前述のご来場くださった方も前情報としてご覧になられた訳ですが、サイトとのギャップに結構驚かれていらっしゃいました。
そろそろホームページの新しい構成を考える時期ではありますが、サイトの情報だけが全てではありません。それはそれとしてここでは流通について思うことをブログに書いてみたいと思います。
書きにくい内容ではありますが、作り手だからではなくきもの業界を見た一般論として明記しておきます。

きもの業界の流通はネット通販やオークションが商売の在り方を激変させてます。百貨店、呉服店での購入から通販などいまや自由に選べる時代です。

私たちのアトリエや産地も例外ではなく流通の激変に時代を感じざるを得ません。

近年のネット普及でユーザー側が生産者から直に購入できるシステムは画期的に見えて生産者とユーザー側の双方にリスクがあるようにも感じます。
問屋、商社、小売店を介さない産地直売について。
中間マージンカットはプライスダウンに繋がりますが、生産者が負う責任はクッションがなくなると重くなります。ユーザー側にとっては小売店さまが担ってきたアフターフォローやアフターサービスの利便性が薄くなってしまう可能性を孕んでおります。
私たちのアトリエは個人工房ではなく企業にはしておりますけれど、家内工業の枠の会社ですから制作中心の産地メーカーとしての立ち位置ですし作品に対する責任はおいますが、着付けなど付帯する細やかな対応までは出来ません。
ものづくりを維持していくのでやっとやっとなのが私たち現場の実情です。

圧倒的な物流や丁寧なご接客や日常のニーズに触れたお客様の生の声に触れ、地域に根付いたお客様第一主義のもと専門の人材教育、企業理念に基づいた価値観の創造とサービスを日々念頭におく小売店さまのようなご提案、アプローチ並びにフォローは専門ショップか別部門を設けない限り私たちには難しいところです。
一番難しいのはお客様のご満足度作りです。
きものには着付けや様々なシーンに応じた自分専属というぐらいのスタイリストのような存在が必要不可欠です。
スタイリストなどと難しい言葉を使っておりますが、昔は親から子へ伝えた着方や日本人としての一般教養に過ぎず、分断されてしまった今尋ねるべき信頼できる専門家と言ったらいいんでしょうか。
ここではそんな存在のことを指します。
もちろんご自身でシーン毎のコーディネートが出来る方はまた別の話です。
私たちは和装に関するフルアイテムをご提案出来ますが、ある意味特殊な部類に入ります。だからこそなんとか爪先で残れているのかもしれませんね。

一般的にはきちんとしたヒアリングをしてお客様が求めるものをTPOに基づいてご提案し、お客様が着て出かけられた場所で満足していただけるシーンを100%以上にスタイリングしてこそのものだと思います。
販売だけすればいいというだけのものではないのです。
着てこそのきもの。お客様のお好みはさることながら季節毎の様々なシーンをきちんと把握した上でのスタイリング。
もちろん私個人をご支持、ご信頼いただき直接的なスタイリングを手掛けさせていただく長年の友人、知人、あるいはアーティストさま、文化団体、企業様からのご依頼などに応じたコーディネートのお仕事を複数持っておりますが対応出来る絶対数は限られます。
ご紹介などを通しご面識がある場合は別としても、
一般の方がネットでご覧になられアトリエに直接訪ねて作品を求めたいという方も増えて来ているのも事実ですが、スケジューリングと段取りを組み制作している現場のため作業の邪魔になってしまったり、物見遊山的なご要望もありまして…とてもじゃないですが私たちには対応しきれないのが現状です。

プライス面で多少なりとも負担がかかっても人を介すのか、時間と手間をかけて自分という信頼力で産地ルートを丁寧に見つけて信用関係を築いていくのかというお話ですが、専門家が産地に度々訪れ厳選して選び抜いて仕入れた作品にはやはりプライスだけの価値があります。ですが、メーカー依存のリスクを負わないパワーバランスをふりかざすだけのビジョンのないお店には作り手として線を引いてしまうと同時に、自分たちの立ち位置を考えるいいチャンスと学ばせていただいてます。

企業間には商法に沿った相互間の約束に基づいて調印を交わした上での信用お取引があっての流通の代理店業務を担う窓口としての役割があって、
商取引きの口座間の締め支払い、プライバシーポリシーを遵守する中のご信頼関係が前提にあって商いが成り立っております。
それらを介さずに直接買い付けに来られる場合は企業間以上の信頼関係の構築やある意味覚悟が必要だと思います。
私たちのアトリエは自社在庫で生産しておりますため、どのルートでの商いも可能ですが流通の交通ルールの遵守と一度通ったルートは崩せません。他業種のエージェントなども同じかもしれませんね。
但しエージェントとしてご商売が不誠実であったり役割を果たさない流通窓口である場合、それはまた話が異なります。

それらを念頭に置いた上で、お店選びを。。。

お店にはお店のルールがあり、それぞれ培ってこられた専門店の理念の元の窓口業務、ご担当者さまとお客様の接点と人間関係があって初めて成立する商いです。

どんなお仕事もそうかもしれませんが、きものの流通は人間関係そのものです。

善き人と人のご縁を繋ぎなら、川上から川下まできものが身近になってステキな装いのお手伝いの一助になるべく生産者のひとりとして作品制作頑張りたいと思います。